• 2019.02.8

フィーカ、シナモンロール、コーヒー: スウェーデンの大事な食べもの

スウェーデンのペストリー好きな人々に、最も愛されているペストリー。それは、シナモンロールです。シナモンロールは、プリンセスケーキやセムラ、クラッドカーカと並んで、典型的な「フィーカ」、スウェーデンのコーヒーブレイクのお供です。
フィーカ、シナモンロール、コーヒー: スウェーデンの大事な食べもの

スウェーデンでは、フィーカは毎日欠かすことのできない時間。フィーカでは、アイデアが生まれ、秘密が共有され、協力関係が築かれます。事実、フィーカの時間はとても神聖なので、多くの雇用契約にも含まれるほど。スウェーデン人のフィーカの習慣をまとめたフィーカレポート(Fikarapporten)によると、平均的なスウェーデン人は一年に227時間もしくは9.5日をフィーカに費やしているそうです。

レポートによると、この227時間のうち、90時間もしくは7.5日は職場におけるフィーカとのこと。スウェーデンに来たばかりの人たちは、なぜフィーカのためにたくさん休憩を取るのか疑問を持つことが多いようです。でもすぐに、フィーカは同僚と打ち解け、ビジネスの決定に素早く至るために、一番効果的な方法だと気づくのです。

フィーカは職場だけのものではありません。家やカフェでも行われ、スウェーデンにおける昼間の交流の最も一般的な形です。他の国における、午前中のお茶や午後のビール一杯にあたるようなものです。

シナモンロール:スウェーデンで一番美味しいペストリー

フィーカといえば、湯気のたつコーヒーと、温かく粘り気あるシナモンロールの組み合わせ。シナモンロール、もしくはシナモンバン(カネルブッレ)が最初に生まれたのは第一次世界大戦後ですが、当時材料(小麦粉、砂糖、卵、バター、シュガーシナモン、そしてカルダモン)はとても高価で見つけるのも難しかったため、1950年代まで人気にはなりませんでした。

いまやシナモンロールはスウェーデンの家庭料理の究極的なシンボルで、スウェーデン人が海外に移住する時、一番恋しくなるものの一つです。平均的なスウェーデン人は、年間230個ものシナモンロールを消費します。あまりに人気なので、カレンダーにはシナモンロールの日があるほどです。これは毎年10月4日で、その日一日だけでおよそ800万個のシナモンロールがスウェーデン中で販売されます。

セムラ、クラッドカーカ、プリンセスケーキ

いうまでもなくスウェーデン人は甘いもの好きの国民で、その傾向は弱まる気配がありません。平均的なスウェーデン人が一年に消費する焼き菓子の量は、1980年に2.7kgでしたが、2010年には非常に大きく11.5kgとなっています。シナモンロールの他にも、クラッドカーカやプリンセスケーキ、セムラなどがフィーカで人気のお菓子です。

クラッドカーカ(ベタベタケーキ、もしくは泥のようなケーキ)は濃厚なしっとりしたケーキ。焼き過ぎないことで中心部分が柔らかくトロリとしており、それが驚くほど美味しいケーキです。プリンセストルタ(プリンセスケーキ)は、カスタード、クリーム、ラズベリージャムの詰まったレイヤー状のスポンジケーキが、明るい緑色のマジパンに覆われたもの。誕生日パーティーなどでよく出されるケーキです。最後に紹介するのが、これまた重要なセムラです。セムラは、ホイップクリームとマジパンが詰まったペストリー。昔、家を貸し出す前に、家じゅうの脂肪と砂糖を全て使ってしまうために「懺悔の火曜日(脂肪の火曜日)」に焼かれていたものです。

コーヒー中毒のスウェーデン人

いうまでもなく、甘いものの他にフィーカで最も中心的な存在はコーヒー。特にドリップコーヒーです。1685年、スウェーデンにコーヒーが初めてやってくると、コーヒーはすぐさま人気になりました。とても人気なので、実は、スウェーデンの歴史の中で五回コーヒー禁止令が出されています。禁止されている期間には、スウェーデン人は森の中などでコーヒーを秘密裏に飲み続けていたといううわさがあるほどです。

スウェーデンには、グローバルに大量の輸出を手がけるGevalia(ゲバリア)をはじめ、数々のコーヒー生産業者があります。しかし、現在は少量のローストを手がけるStockholm’s Drop Coffee(ストックホルムズ・ドロップ・コーヒー)やLöfbergs(レーフベリス)のように革新的でオーガニックなコーヒー、そしてフェアトレードコーヒーの会社が徐々に大きなマーケットシェアを占めるようになっています。

健康志向のフィーカの流行

スウェーデン人は砂糖たっぷりのフィーカが大好きですが、同時に健康志向で、流行にも敏感です。その結果、スウェーデンの食品生産業者は、乳製品不使用の食品や、穀物不使用(グルテンフリー)の食品を作る、世界的なリーダーの一員となっています。この成長著しいマーケットのトップには、乳製品不使用、かつ100%遺伝子組み換えでないスウェーデンのオーツ麦でミルクを生産するOatley(オートリー)、そして穀物不使用の小麦粉やベーキングミックスを生産するKungsörnen(クングスウルネン)が挙げられます。